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福島県西会津町
健康づくりに情報化を活かす
    −CATV等による保健・福祉・医療の総合システム−

健康長寿の町づくりが平成11年度過疎地域活性化優良事例国土庁長官表彰受賞

<取組み>

 健康づくりのために情報化に取り組み、CATVの導入により、保健・福祉・医療の総合システムを構築した。

<情報化のポイント>

  • 町民の「健康づくり」という目的を達成するために、情報化を進めるという目的がハッキリしていたこと。
  • また、それを支えるスタッフ支援体制の構築にも力を入れていること。


1.地域の概要・特性

人口(人)
世帯数(世帯)
面積(K平米)
高齢者比率(%)
若年者比率(%)
9,075
2,927
298.13
35.9
10.4

 西会津町は、福島県西部会津地方にあり、西は新潟県に接している。会津地域の西の玄関口といわれており、会津地域の中心である会津若松市からはJR磐越西線で約40〜50分、喜多方市からは同じく30分程度で到達できる。また、平成10年には磐越自動車道が開通し、町内に西会津ICが開設されたため、高速交通網の整備も進んでいる。

 西会津町は、地域ぐるみで健康づくりに取り組んでおり、町政の基本理念も「すべてにやさしい健康のまち にしあいづ」として、産業や教育、環境など全ての分野で「健康」をキーワードにしたまちづくりを進めている。町では健康づくりを推進するためのツールとして情報化に取り組んでいるのが特徴となっている。
 かつて西会津町の平均寿命は県内市町村の中でも下位に位置しており、昭和40年当時で、男性の平均寿命が73.1歳(県内90市町村中88位)、女性の平均寿命が80.0歳(県内90市町村中69位)だった。そこで、町民が少しでも長生きできるようにと、「健康づくり」をキーワードに町政を進めてきた。平成4年度には50歳以上の町民2,180人を対象に疫学調査を実施。その中から性年代別に202人を抽出し栄養調査を実施。また、平成6年度に児童生徒を対象にした健康調査を実施し、970人が参加している。
 この結果から、
 @死因としては脳卒中による死亡が多いこと
 A悪性疾患(特に胃ガン)による死亡が多いこと
 B骨粗鬆症が多く、腰曲がりや膝関節変形により寝たきりになりやすいこと
が、明らかになった。
 そこで、町民の意識高揚のために平成5年に「健康の町宣言」を行い、毎月第2土曜日を「町民健康の日」と定めるとともに、「百歳への挑戦」と題した健康講演会の開催、健康まつりの開催、町民健康カレンダーの全戸配布などを行ってきた。
 また、同時に町単独の取り組みとして、次のような事業を実施している。
 ・基本健診及び胃ガン検診の対象年齢の10歳引き下げ
 ・診療所での人間ドック検診の実施(個人負担4千円程度)及び各種検(健)診の受診料無料化
 ・骨粗鬆症検診開始(平成7年度〜)
 このほか、平成5年から管理栄養士の指導のもと、各地区で食生活の改善を進める食生活改善員の育成を本格的に進めてきており、スタート当初は18名だった改善員が平成12年度には122人まで増えている。また、保健婦も約9,000人の人口に対して6名体制と充実している。
 このほかにも町では国民健康保険の減税も行っている。平成11年度の1人あたりの国保税と医療費の平均は、いずれも全国値を下回っている。

 

    
全国平均
福島県平均
西会津町平均
1人あたり医療費
368,820
363,274
366,782
1人あたり国保税
76,194
75,815
48,013

 これらの取り組みの結果、平均寿命は平成7年には女性が83.7歳、男性が75.2歳にまで伸びている。また、町内にはこれらを支える各種保健・医療・福祉施設も整備されており、町ぐるみの健康づくり支援体制がとられている。


2.情報化に向けた取り組みの経緯

 これらの町民の健康づくりを支えているのが西会津町の情報化システムである。現在、健康づくりに関連した情報化の取り組みとしては、在宅健康管理システムとCATVが上げられる。

(1)在宅健康管理システム「うらら」
 町が、健康づくりに情報化を取り入れ始めたのは、平成6年度の在宅健康管理システム「うらら」の端末導入からである。このシステムは、利用者宅に置かれた操作が簡単な端末機から、問診への回答と血圧、心電図などがCATV回線や電話回線を使って、病院に送ることが出来るシステムである。

<装着状況>

 町は平成6年にこの端末300台を導入した。この時点ではCATVは未整備だったため、当初は電話回線を使いデータの集信を行うタイプのもので、1台で4人分のデータ(問診、血圧、脈拍、心電図、体温、体重)を送ることが出来る。その後平成8年度、9年度に各50台ずつ導入されたが、後年度整備された端末は、CATVに対応したタイプとなっている。
 導入に際し活用した事業は次の通りであり、町負担分の一部に過疎債を充てている。
平成6年度地域保健推進特別事業(保健・医療・福祉連携推進モデル事業・厚生省)
  コンピュータ1台、電話回線用端末機300台
平成8年度地域情報交流拠点施設整備モデル事業(国土庁)
  コンピュータ1台、CATV回線用端末機50台
平成9年度農山漁村高齢者生きがい発揮促進事業(農林水産省)
  CATV回線用端末機50台

(2)西会津町ケーブルテレビ
 西会津町ケーブルテレビは町営のテレビ局として平成9年度に開局している。地上波、衛星波の再送信チャンネルの他に、自主放送チャンネル、音声告知放送、農業気象情報、遠隔管理システム、ビデオオンデマンドシステム、多機能電話システム、在宅健康管理システムなどのサービスを提供している。

                  <局舎>

 幹線部は光ファイバーケーブルを使っており、公共施設や小中学校間はこれを使ったWANを形成している。加入率はよく、全世帯の約90%が加入している。利用料金は月額1,500円、事業期間中に加入した人は、加入金や工事費等の初期費用も無料だったため、多くの町民が自己負担無しで情報化の恩恵にあずかることが出来ている。
 自主放送チャンネルは町の花である「おとめゆり」の愛称を採って「さゆりチャンネル」と称している。放送時間は朝の6時から夜の10時45分までで、町内の話題をニュース形式で伝える「さゆりチャンネルニュース」や自主制作番組、町内の情報カメラの映像などを流している。
自主放送の視聴率は高く、町が実施したアンケートでは90%の人が見たことがあると回答しており、議会中継などは50%弱の視聴率を上げることもあるという。平成12年度の場合、「さゆりチャンネルニュース」の放送日は年間230日、15分間の番組で約3本のニュースを流しているため、ニュース本数は年間676本となっている。自主制作番組は年間59本制作した。自主制作番組の中には健康づくりに役立つ情報を放送する「百歳への挑戦」という番組もあり、年間8本が制作されている。
 テレビ局の運営は、町放送センターという組織で行っており、所長以下11名の少数精鋭で、番組制作から加入者や施設の管理業務まで行っている。西会津町の番組作成の特徴の一つに「放送番組制作チーム」制がある。このチームは各課2名ずつ任命を受け、各課主催の行事等があるとこのチームが取材やカメラ操作を行っている。少ない人数で充実した番組を作成するためには、このような仕組みは有効であると考えられる。実際、平成12年度の「さゆりチャンネルニュース」676本のうち124本、18%が「放送番組制作チーム」の取材となっている。



3.現在の情報化施策の内容
                                        <うらら端末>

 在宅健康管理システム「うらら」の端末利用には、町の検診を受けた結果、端末を利用して健康管理を行った方がよいと診断された人を中心に、申請を受けて判定委員会で判断している。端末の貸付期間は原則1年間で利用料は無料となっている。現在のところ、家族利用も含めると延べ500名近くがこの端末を利用して健康管理を行っている。
 端末の設定を最初に行えば、その後の利用は、電源を入れれば、自動的に問診、計測、データ送信が行われるようになっている。端末も液晶画面と音声によるガイド、及びボタンも3つのみのシンプルな構成で、高齢者でも負担無く利用できるよう配慮されている。

 計測されたデータ等は、回線を通じて町保健センターに送信されてくる。ここは健康福祉課健康係を兼ねており、保健婦が常駐している。先にも触れたように、西会津町の保健婦は6名体制となっており、人口規模を勘案すると人数的には充実した体制と言える。在宅健康管理システム「うらら」のデータは、このシステム専任の保健婦が一人一人の値をチェックし、データに異常が認められれば、アドバイスを受けられる担当医師に相談、助言を受けながら、対象者に電話、FAX、訪問等を行っている。データに異常が見られない場合でも、毎月データを担当医に提示すると共に、月刊管理レポートとして、対象者宅にフィードバックを行っている。


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4.情報化施策実施上の問題点

 健康づくり分野への情報化の活用は、今でこそ各地で見られるようになったが、西会津町で取り組んだ平成6年当時は、他にあまり事例がなかった時代だったが故の苦労もあったようである。
また、インフラの一つとなっているCATVも、福島県内で整備している自治体はほとんどない状態で、このような投資を行うことに対し周囲や県などの理解を得ることがなかなか難しかった。


5.情報化施策の効果

 在宅健康管理システムを導入することにより、循環器系の要指導者・要医療者等のハイリスク者に対し、日々の状況を確認しながら重点的な保健指導を行う事が可能になったという。そのため、疾病の早期発見と予防面での効果が期待される。また、保健婦が積極的に関与していることで、保健・医療・福祉の連携が可能になり、在宅福祉の環境を向上させることが可能となっている。さらに、在宅のまま保健婦や医師から指導を受けられるというメリットもあるという。
 毎月送られてくる管理レポートを見れば、計測値の傾向なども把握できるため、医療機関にかかる際にレポートを持参する対象者もいるという。医療機関にとってもそれまでの患者の傾向がわかるため利用価値が大きいという。


6.今後の課題

 ひとつは検診等の受診率の向上と、在宅健康管理システムの利用状況の向上がある。受診率は現在75%程度になっているので、これのさらなる向上が必要になってこよう。さらに、在宅健康管理システムの利用も熱心な人もいればそうでない人もいるので、この点の改善も課題となろう。
今後の計画として、町では平成14〜16年度にかけて、在宅健康管理システム「うらら」の端末を新たに1,100台増やし計1,500台にする予定となっている。これにより希望する世帯はもちろん、予防や健康維持の観点からも、対象となる人の利用が可能になるという。これに伴い、保健婦の増員という要望も出てくるだろう。
 また、整備という観点からはCATV放送のデジタル化や、初期の端末も導入後10年近く経過してくるため、置き換えも必要になってこよう。




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